051151 ランダム
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銀の月 蒼の風 黎明の海

銀の月 蒼の風 黎明の海

Act.5

「........えぇ~~~~?!!」

「何だ、アレン・ウォーカー」

「シャリアさん、黒の教団に入ってたんですか?!」

【(驚くところは其処かよ;)】

 アレンの見事なボケに風牙が突っ込む。シャリアはアレンの言葉には何も答えないで唯む表情でアレンを見ているだけだった。

門が完全に開き、風牙とシャリアは入っていく。アレンはそれを慌てて追い駆ける。が、神田が刀を抜き、邪魔をする。

「何するんですか!?」

「悪魔かどうか、中身を見れば分かる事だ」

 刀を構える神田にアレンは慌てる。エクソシスト同士が武器を交えてはならないとクロスから教えられているため、

アレンは動けない。否、動かない。それを横目で見ていたシャリアはため息を吐いて風牙に言う。

「助けてやれ」

【ちっ、分かったよ】

 神田がアレンに向かって刀を振り落としたが、その刀は途中で止められた。風牙の手にある漆黒の鎌によって。

「何故止める」

【主からの命令だ】

「神田、下がれ」

 神田はコムイが「僕らのボス...」と言っていたのを思い出してシャリアに突っかかろうとしたのを寸前で止める。

「アレン・ウォーカー付いて来い」

 シャリアに呼ばれアレンは慌ててシャリアのところへ行く。神田もそれに倣う。

「(こいつが、黒の教団の長だと? 今まで顔も見た事なかったぞ)」







「コムイ」

「何かな~?」

「手紙はちゃんと読め。クロスはお前に手紙を書いたそうだぞ」

 シャリア、風牙、アレンはコムイの部屋に来ていた。神田とは途中で別れた。その時に、アレンが神田に向かって

握手をしようと手を前へ出したが、神田が呪われた奴と握手などしないと言い自室へと戻ってしまった。

「あはは☆ にしても久しぶりだね」

【話変えるなよ。それよりコムイ、アレンの腕、どうするつもりだ】

 コムイはアレンの腕を手術台らしき物の上においていた。アレンの腕は風牙の鎌が少し掠って傷ついていた。

「......風牙」

【いや、悪かったよ。ワザとじゃないから許せ☆】

「ワザとだったら消してたぞ」

【そんな~】

 シャリアの冷たい一言に風牙は少しへこむ。その間にも、コムイは手術の容易を着々としていく。

だが、シャリアがアレンの腕の修理をしようとしているコムイを足蹴りし<酷っ 

アレンの腕を手に取り、一言呟く。

「“治癒”」

 瞬間、アレンの傷ついた腕が治っていく。アレンはそれを惚けて見ている。完全に直ると、シャリアはアレンの腕を離す。

「あ、ありがとう」

「別に良い。それより、ヘブラスカの所に行くのだろう?」

「あぁ、そうだったね。んじゃ、こっちに来て」

 アレンは「ヘブラスカって誰だろう」と疑問に思いながらシャリアとコムイの後に着いて行く。









【シャリア】

「あ、何だ?」

【あれ、見てみろ】

 風牙に促されて見たら、其処にはヘブラスカに抱えられて抵抗しているアレンの姿が。

「あぁ、ヘブラスカ。久しぶりに見たな」

【......はぁ、まぁいいか。それより、アレンの奴がイノセンス発動しないように拘束しとくか?】

「あぁ、そうしてくれ」

 風牙がアレンに向かって『縛』と呟くと、アレンがピタリと固まった。

【アレン~、怖がらなくても平気だぞ~】

 風牙はにこやかに手を振り「頑張れ~」などと言っている。シャリアは成り行きを唯見つめている。

《83%が最高値みたいだな》

 シャリアは話が長くなりそうだなと思い、一瞬にして姿を消した。風牙に此処で待っていろと言い残して。

【...俺ってお前の守護者なんだがな】













 シャリアは訓練場に来ていた。今は夜。此処には人が居ないだろうと思ったのだ。だが、

一人居た。神田だ。神田はじっとシャリアを見ている。だが、シャリアはそれを無視して訓練場にある中で

一番大きな樹に登り睡眠をとる。途中、神田が刀を持って仕掛けてきたが、すぐに扇を持って風を起し吹き飛ばす。

それの繰り返しをしていた。シャリアは眼を瞑って、定期的に胸が動いている。傍から見れば、

寝ているようにしか見えない。なのに、神田が向かっていけば、シャリアは眼を瞑ったまま扇を振るう。

「(何故気付かれる? 気配か?)」

 そう思い、今度は気配を絶って向かう。刀を振り翳した時、目の前からシャリアの姿が消えた。

「人間の分際で目障りな」

 刹那、神田の真後ろで声が聞こえた。それはとても冷たい声。だが、人間とは思えないような綺麗な声だった。

「お前だって人間だろう」

「私の何処が人間に見えるという。人間、答えろ」

 神田が振り向くと其処には蒼銀の髪を揺らし、鋭い紅い眼でこちらを見ているシャリアが居た。

シャリアの髪は月の光の所為か、光を放っているように見えた。そして、眼は血の様に紅く

果ての無い闇のようにも見えた。シャリアの眼を直視した神田は恐怖で体が動かなかった。

「人間、答えろ。私の何処が人間だと言うのだ」

「....っ」

「分かったのなら無意味な事はするな。体力の無駄だ。それに、相手の力を見極めるのも大事だと私は思うぞ」

 それだけ言うと、神田に背を向けて歩いて行く。だが練習場の入り口で止まり、神田をあの冷たい紅い眼で射抜く。

「それと、アレン・ウォーカーに「呪われた奴と握手なんてするかよ」と言っていたが...。

 お前もある意味呪われているではないか。その驚異的な回復力が何よりの証拠だ」

 神田が何か言う前にシャリアの姿は闇に紛れて消えた。練習場には唯呆然とする神田と闇を照らす月の姿があった。



































05/03/20


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